図鑑JOB ATLAS

一次産業(農業・漁業・林業)の職種図鑑 — まず地図で、自分の座席を見つける

一次産業の職種は「農・漁・林のどの領域か」×「入る→極める→営むのどの段階か」で整理すると見通せます。同じ未経験スタートでも、使う制度と登り方がまったく違います。

対象は、農業・漁業・林業へ未経験・異業種から転職/就農する人が現実に検討する入口〜独立までの職種。農協・行政職員や食品加工専業は除く。年収は当社取扱求人の実勢と厚労省jobtagの職業情報を独自補正した転職想定レンジ(経験・地域・作目/漁法で大きく変動)。独立系は経営次第で上下します。

10ROLES

主要10職種の図鑑

農業法人スタッフ(雇用就農)のキャラクターイラスト

FARM EMPLOYEE農業法人スタッフ(雇用就農)

300–600万円 目安

月給をもらいながら栽培技術と経営の裏側を吸収する、未経験参入の本命ルート。独立の予行演習を給料つきでやれるのが最大の価値。日常は播種・定植・収穫・出荷調整と、季節ごとに顔が変わる作業の連続だ。

入り方
農業求人サイトか就農相談会から。研修生扱いなら就農準備資金の対象になる場合もあり、入口で確認する価値がある。
市場感
面接で聞かれるのは「なぜ農業か」より「何年続ける前提か」。担い手不足で門は広いが、1年で辞める人を法人は一番恐れている。
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仕事の中身

  • 早朝からの収穫・出荷調整。時間との勝負で、市場やスーパーの締め切りに合わせて動く
  • トラクター・管理機の operation と、灌水・防除・温度管理などの栽培管理
  • 繁忙期と農閑期で仕事量が大きく波打つ。閑散期は施設整備や翌季の計画
  • 規模の大きい法人ではパート管理や出荷データ入力も早い段階で任される

面接で評価される経験

  • 前職の段取り力・チーム経験。農業経験ゼロでも「決めた手順を守り抜いた」話は刺さる
  • 体力自慢より、副業やアルバイトで一度土に触ってから来た事実

向いている人

いきなり借金して独立するのは怖いが、農業で食っていく覚悟は決まりつつある人。

次の一歩 農場長・生産管理へ研修を経て独立就農へ半農半Xに切り替える
農場長・生産管理のキャラクターイラスト

FARM MANAGER農場長・生産管理

450–850万円 目安

作付計画・人繰り・出荷を数字で回し、天候が崩れた日にどの作業を捨てるか決める役。日常は圃場の見回り、パート・研修生への指示出し、出荷先との数量調整の連続だ。

入り方
農業法人で3〜5年、栽培と人の両方を任された実績から内部昇格が主流。異業種の製造・店舗マネジメント経験者を直接採る法人も増えた。
市場感
法人の大規模化で一番足りていないのがこの層。面接では栽培知識より「人が辞めない現場を作れたか」で評価が割れる。
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仕事の中身

  • 年間の作付計画と、それを崩す天候・相場への日次のリカバリー判断
  • パート・技能実習生・研修生のシフトと教育。現場の人間関係の調停役でもある
  • 出荷先(市場・スーパー・直販)との数量・価格交渉と、クレーム対応の矢面
  • 農薬・肥料の在庫と原価の管理。利益が出る畑と出ない畑を数字で仕分ける

面接で評価される経験

  • 「収量を上げた」より「同じ収量を少ない人時で出した」改善の実話
  • 異業種なら、現場チームを率いて数字に責任を持った経験そのもの

向いている人

自分が動くより、段取りで現場全体の出来を変えることに手応えを感じる人。

次の一歩 法人の役員・経営継承へのれん分け・独立就農へ
独立就農(自営農家)のキャラクターイラスト

INDEPENDENT FARMER独立就農(自営農家)

300–1,000万円 目安

農地・販路・資金を自分名義で背負い、作る自由と売れない責任を丸ごと引き受ける経営者。日常は栽培だけでなく、記帳・販路開拓・補助金の書類仕事が思った以上に多い。

入り方
王道は研修2年+就農準備資金→独立直後を経営開始資金で支える型。いきなり独立は農地も販路も紹介してもらえないので、地域との接点作りが先。
市場感
就農相談で必ず突かれるのは「何を・どこで・いくらで売るか」。栽培計画より販路の答えを持っているかで、自治体と農委の対応が変わる。
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仕事の中身

  • 栽培作業一式に加え、農地の借入交渉・農業委員会の手続きという地味な行政仕事
  • 直売所・契約販売・ネット直販の開拓。作る時間と売る時間の配分に毎年悩む
  • 青色申告の記帳、資金繰り、機械の修理まで全部が自分の仕事
  • 初期は収入が読めない。軌道に乗るまで平均数年、その間の生活費設計が生命線

面接で評価される経験

  • 研修先で「経営データを見せてもらいながら」学んだか。作業だけの研修とは差がつく
  • 自己資金と家族の合意。就農相談の場で最初に確認される現実項目

向いている人

収入の波より裁量のなさの方が耐えられない、と過去の会社員生活で確信した人。

次の一歩 法人化・雇用する側へ6次産業化・直販強化へ
漁船漁業乗組員のキャラクターイラスト

FISHING CREW漁船漁業乗組員

350–800万円 目安

沿岸・沖合の漁船に乗り、網や漁具を扱って水揚げまでをやり切る現場職。歩合(大仲)制の船では獲れた月と獲れない月で収入が倍以上変わる。日常は未明の出港、漁、帰港後の選別・箱詰めまでが一連だ。

入り方
入口はほぼ一択で漁業就業支援フェア。研修中の生活費支援を使い、乗る船とのマッチングから始まる。漁業権の世界なので個人の飛び込みは通用しない。
市場感
面接(というより船主との顔合わせ)で見られるのは技術ではなく「船の上下関係に入れるか」。若手不足は深刻で、続く人には囲い込みに近い待遇が出る。
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仕事の中身

  • 未明〜早朝の出港。漁法(定置網・底びき・まき網等)で1日の形がまったく違う
  • 網起こし・漁獲物の選別・氷詰め。スピードが単価に直結する体の仕事
  • 帰港後の漁具の修理・手入れ。ロープワークと網の補修は最初に覚える技能
  • 時化の日は休み。天候で働く日が決まる生活リズムへの適応そのものが仕事

面接で評価される経験

  • 支援フェアや短期研修に自費で参加した行動歴。口より先に浜へ行った事実
  • 船酔い・早朝勤務を試した上で来ているか。ここを確かめず来る人が一番早く辞める

向いている人

獲れ高で収入が動くヒリつきを、ストレスでなく報酬として感じられる人。

次の一歩 幹部船員・船長へ漁協の准組合員→独立漁師へ養殖スタッフへ転向
養殖スタッフのキャラクターイラスト

AQUACULTURE STAFF養殖スタッフ

350–650万円 目安

魚類・貝類・海藻を「獲る」のではなく「育てて出荷する」仕事。法人雇用・月給制が主流で、漁業の中では収入と休みが最も読める。日常は給餌・生簀の見回り・水質チェック・出荷サイズの選別の繰り返しだ。

入り方
養殖会社・漁業法人の求人に直接応募できる、漁業で数少ない「普通の転職」ルート。支援フェア経由で研修つきの入り方もある。
市場感
養殖は法人化・大規模化が進む成長側。採用面接で効くのは釣り好きアピールより毎日同じ生き物の世話を続けられる根拠で、酪農や飼育経験者は強い。
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仕事の中身

  • 朝の給餌と生簀の見回り。魚の食いつきの変化から体調異常を拾うのが腕の見せ所
  • 水温・酸素などの水質データ確認。センサー導入が進み、記録仕事が増えている
  • 出荷期の水揚げ・活け締め・サイズ選別。ここだけは漁船漁業並みの体力勝負
  • 台風前の生簀の補強・沖出し。年に数回の総力戦がある

面接で評価される経験

  • 生き物相手に「休めない世話」を続けた経験(酪農・飼育・介護でも通じる)
  • データを記録して改善につなげた経験。給餌量×成長の管理はまさにこれ

向いている人

一発の大漁より、毎日の積み上げで結果を出すことに向いている人。

次の一歩 現場責任者・漁場長へ独立して自営養殖へ
独立漁師(漁協組合員)のキャラクターイラスト

INDEPENDENT FISHER独立漁師(漁協組合員)

400–1,000万円 目安

自分の船と漁業権で操業する浜の経営者。腕とやり方次第で雇われ時代の倍も現実にあるが、船・燃料・漁具のコストも全部自分持ち。日常は操業に加え、漁協への出荷精算と浜の共同作業が組み込まれる。

入り方
乗組員として数年、浜で信頼を作ってから准組合員→正組合員へ。漁協との関係構築が免許より先で、これを飛ばすルートは事実上ない。
市場感
後継者のいない浜では、船や漁業権ごと引き継ぐ話が現実に出る。就業相談で見られるのは資金より「その浜に住み続ける気があるか」だ。
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仕事の中身

  • 自分の判断での操業。漁場・漁法・出漁日を全部自分で決め、外せば収入ゼロの日もある
  • 漁協経由の出荷と精算、燃料・氷・漁具の仕入れ。個人事業主としての経理一式
  • 浜掃除・密漁監視などの共同作業。漁業権は「浜の一員」であることとセット
  • 中古船の購入・維持。船のローンと修理費が経営の最大変数

面接で評価される経験

  • 乗組員時代に船主から「独立しても浜に残ってくれ」と言われる働き方をしたか
  • 准組合員期間に販路(直販・飲食店)を試した経験。浜値だけに頼らない設計

向いている人

組織の看板なしで、地域共同体の一員として生きることに腹を括れる人。

次の一歩 養殖・遊漁船など複合経営へ浜の後継者受け入れ側へ
林業作業員(フォレストワーカー)のキャラクターイラスト

FOREST WORKER林業作業員(フォレストワーカー)

300–550万円 目安

植える・育てる・伐るのサイクルを山の中で担う現場職。危険と隣り合わせだからこそ、手順を守り抜く規律が技術より先に問われる。日常は下刈り・間伐・伐倒・搬出と、季節で仕事の顔が変わる。

入り方
未経験の入口は緑の雇用一択に近い。給付を受けながらチェーンソー等の技能講習を積める3年間の研修制度で、事業体に雇用された上で使う。
市場感
採用面接で必ず確かめられるのは「安全教育にどれだけ本気の事業体か」を応募者側が見ているか。ここを質問できる人は現場を分かっていると評価される。
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仕事の中身

  • チェーンソーでの伐倒・造材。かかり木処理など、判断を誤れない場面が日常にある
  • 夏の下刈り・獣害柵の設置。地味だが山を育てる仕事の大半はここ
  • ヘルメット・防護ズボン・チャップスの装備点検から一日が始まる
  • 雨天・強風は作業中止。天候で予定が動く前提の工程感覚

面接で評価される経験

  • 「決められた手順を絶対に省略しなかった」職歴上の実話。安全文化への適性そのもの
  • 林業大学校・技能講習の受講歴。自費で資格を取りに行った行動力

向いている人

自然の中で働きたい気持ちを、ロマンではなく規律で支えられる人。

次の一歩 高性能林業機械オペレーターへフォレストリーダー・班長へ
高性能林業機械オペレーターのキャラクターイラスト

FORESTRY MACHINE OPERATOR高性能林業機械オペレーター

400–700万円 目安

ハーベスタ・フォワーダなどの重機で伐倒・造材・搬出を機械化する、林業の生産性を決める職。体力の仕事を技能の仕事に変えた張本人で、日常はキャビンの中での精密操作と機械のメンテナンスが半々だ。

入り方
林業作業員として現場を数年踏み、緑の雇用の研修課程や事業体内の育成で機械に上がるのが王道。建機オペ経験者の転身も通る。
市場感
機械は買えても操れる人がいない、が全国の事業体の共通の悩み。数千万円の機械を預けるので、面接では腕より機械を壊さない丁寧さの証拠を探される。
この職種をもっと深く

仕事の中身

  • ハーベスタでの伐倒・枝払い・玉切り。1本数十秒で造材する精度とリズムの世界
  • フォワーダでの搬出と土場での仕分け。材の等級を見る目も要る
  • 毎朝の給脂・点検と、山の中での応急修理。機械を止めた日は現場全体が止まる
  • 作業道上での移動・据え付け。斜面での機械の置き方が安全と能率を決める

面接で評価される経験

  • 建機・農機・大型車両の操作歴。異業種からの評価はほぼここに集約される
  • 「燃費や消耗品のコストを意識して運転した」実話。機械貧乏な事業体ほど刺さる

向いている人

重機の操作が好きで、かつ整備の油汚れも苦にしない人。

次の一歩 現場長・フォレストマネージャーへ事業体の機械管理責任者へ
地域おこし協力隊(就農・就漁準備型)のキャラクターイラスト

COMMUNITY REVITALIZATION MEMBER地域おこし協力隊(就農・就漁準備型)

270–350万円 目安

自治体に任用され、最長3年の任期で地域に住み込みながら就農・就漁の準備をする移住と一次産業の橋渡し役。日常は地域の農作業・漁の手伝いと、イベント運営や情報発信などの地域活動が混ざる。

入り方
自治体の募集に応募して面接・現地訪問へ。「農業ミッション型」の隊員募集を選べば、任期中の活動そのものが研修になる。
市場感
任期後の定住率が問われる制度なので、選考では熱意より「3年後に何で食べていくか」の仮説を聞かれる。就農準備資金との併用可否は自治体ごとに要確認だ。
この職種をもっと深く

仕事の中身

  • 受け入れ農家・漁師のもとでの実地作業。師匠と農地・浜の人脈を任期中に作る
  • 地域の直売所・祭り・情報発信の手伝い。集落に顔を覚えてもらう仕事でもある
  • 起業・定住に向けた準備。空き家・農地探しは任期の後半では遅い
  • 報償費は月20万円前後+活動費。収入は低いが、住まい支援つきの自治体が多い

面接で評価される経験

  • 応募前に現地を自費で訪ね、受け入れ側と会ってきた行動。ミスマッチ退任が多い制度だからこそ効く
  • 「地域の便利屋で3年終わる」リスクを理解し、ミッションを確認する質問ができるか

向いている人

移住と就農を一気に決めるのは怖いので、段階を踏んで確かめたい人。

次の一歩 独立就農へ独立漁師・漁協組合員へ地域の法人に就職
半農半X(複業型)のキャラクターイラスト

HALF FARMER HALF X半農半X(複業型)

250–700万円 目安

小規模な農業と、リモートワークや地域の仕事「X」を組み合わせて収入源を分散する働き方。農業一本の崖を、複線で渡る設計だ。日常は午前は畑・午後はPC、収穫期はXを絞る、といった配分の自己管理が核になる。

入り方
移住先で小さな農地を借り、前職スキルのリモート案件や地域の仕事を確保してから始めるのが定石。Xの収入を先に固めるのが順番だ。
市場感
リモートワーク普及で現実味が一気に増した型。ただし自治体・農委への相談では「趣味の家庭菜園と何が違うか」を営農計画で示せないと農地は借りにくい。
この職種をもっと深く

仕事の中身

  • 少量多品目の栽培と、直売所・マルシェ・ネットでの小さな販売
  • Xの仕事(リモートのIT・デザイン・ライティング、地域の観光・加工場など)
  • 農繁期と納期のバッティング調整。カレンダー管理が実は最大のスキル
  • 収支は農とXで別勘定に。農の赤字をXで埋め続けると数年で疲弊する

面接で評価される経験

  • 場所を選ばず稼げるスキルの実績。半農半Xの面談ではXの強さがalmost全て
  • 小さくても「売った」経験。作る趣味と売る事業の境界を越えたことがあるか

向いている人

収入の最大化より、暮らしの納得感を自分で設計したい人。

次の一歩 農の比重を上げ独立就農へXを法人化し農は自給へ地域おこし協力隊と併走

この地図の登り方 — 王道は3本

農業の王道:雇われて学び、資金で独立する異業種農業法人スタッフ(雇用就農)研修+就農準備資金独立就農(自営農家)経営開始資金で独立直後を支える
浜の担い手ルート:フェアから船へ、船から浜へ漁業就業支援フェア漁船漁業乗組員漁協の准組合員独立漁師(漁協組合員)
緑の雇用ルート:規律を身につけ、機械で極める緑の雇用(3年研修)林業作業員(フォレストワーカー)高性能林業機械オペレーター現場長・フォレストマネージャー

どの道も、飛ばした段が後で必ず請求されます。研修や雇われの期間を「遠回り」と焦って一段飛ばすと、農地も漁業権も山の現場も、地域との信頼という手前の段がないことを面談で必ず突かれる。自分がどの段から登るべきかは、適性診断で確かめてみてください。

地図の上の、あなたの現在地を確かめる。

約4分の適性診断で、あなたが現実的に狙える進路タイプと、次に読むべき記事が分かります。

適性診断を受ける → 記事から読む

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